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ついに出ましたネ。ご当地演歌「熊野古道」(水森かおり)。
 中世に「蟻の熊野詣」と言われるほど日本全国から人を引きつけた、聖地・熊野。
 今また世界遺産となり、再び癒やしを求めて多くの旅人が熊野へやってきます。
 そのなかに、恋に疲れた女がひとり。

 では、彼女とともに、古道への旅に出かけてみましょう。果たして熊野は、この哀れな女を癒すことができるのでしょうか。
 列車を何度か乗り継いで、ふと気がつけばここは滝尻王子。(時々、影の声が入ります)

女 「わ、どいらい山道やの。かなわんよ。誰そ(だそ)、手ぇ引いてくれんかいノ」
   (なんなコイツ! 日本のどこそから来たんちゃうんか。熊野の女か!)
女 「いえ、違いますヨ。新宮弁講座のために、ワザと新宮弁をしゃべりやるんです」
   (あ、そりゃ、どうも失礼)

 急峻な山道のところどころにはワラビやゼンマイ、ウドなどの山菜が芽吹いています。やがて、峠の茶屋に着きました。

茶屋 「姐さん、ゴンパチ(イタドリ)あるデ。食べていかんし」
 茶屋のおばあさんが孫をおっぱ(おんぶ)しながら、声をかけます。
女  「どうも、お?きに。ま、可愛らしい子やの?。つあて(よだれかけ)してもろて」
 女は子供のころ聞いた、あやし歌を思い出していた。
女  「♪ちょち ちょち あばば おつむてんてん ばっかりこ♪」
茶屋 「あんたにも、子どもおるんかの?」
女  「いえ、その・・・」と、涙ぐむ。
   (なんど、ワケありそうやな)
女  「♪ちっち こっこ とまれ いやなら 飛んでけ?♪」
 と、楽しそうに赤子をあやす女の背中は淋しそうであった。

??伏拝王子が見えてきました??
 ここまでの道すがら、山のあちこちに里の子どもたちが仕掛けた、くぐつ(鳥を捕る仕掛け)がありました。
 伏拝王子からは眼下に熊野本宮大社が見えます。

女  「あれが本宮大社、やっとここまで・・・。遠い道のりだったワ。あぁ、熊野の神さ    ま・・・」
 音無川を渡り大斎の原へ。女には都でのいろんなことが思い出されます。
 神様がやさしく声をかけます。
 「こよさ(今宵)は湯の峯温泉にでも、泊まってかんし。めはり寿しもあるしの?」
 
♪離れるほどに 恋しさつのる
 心はなんて あまのじゃく
 列車を何度か乗り継いで
 熊野古道をひとり旅
 切れぬ未練に 振り向けば
 足を取られる 木の根道♪ (作詞/木下龍太郎 作曲/弦 哲也 歌/水森かおり)


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