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 和歌山県と三重県の県境に位置する新宮市。熊野川流域の木材の集散地として発展した人口3万2千人、紀伊半島南端の明るい町だ。

古くから熊野信仰の聖地として、上皇をはじめ全国各地から参詣客が訪れた。

俳優原田芳雄さんは、そんな新宮に魅せられたひとり。新宮出身の作家中上健次さんとの交流で新宮を知り、お燈祭を体験した。火祭りの勇壮さと火の魔力、新宮の人々の温かさに魅せられ、毎年新宮に「帰って」くる。

新宮を第二の故郷という、原田さんに新宮の魅力を語っていただいた。

 新宮という町の名前を知ったのは、行きつけの酒場で、新宮出身の作家中上健次さんと会ったときです。中上さんと一緒に映画を作ろうという話になり、彼とよく飲むようになりました。中上さんは「とにかくお燈祭りに上って(参加して)くれ」と言いました。そのときは一緒に上る予定でしたが、彼は病に侵されていて断念、私だけの参加でした。それから、今年で9回目のお燈です。

 中上健次原作、柳町光男監督の『火まつり』という映画を見て、祭りのことはだいたい知っているつもりでしたが、実際のお祭り体験というものは筆舌に尽くしがたいほどの衝撃、感動の連続でした。

祭り当日の昼、新宮駅に降り立ってみて、あまりの静けさに調子抜けしました。笛や太鼓の音が聞こえてこない。人々もざわついていない。祭りの日にちを間違えたのかなと思ったぐらいです。

 関東の人間にとって、祭りとは歌舞音曲で盛り上がり、色彩があでやかなものというイメージでしたから。思わず通りすがりの人に「今日は祭りですよね」と確かめたぐらいです(笑)。とにかく何もない、普段の生活、そのままの街があるといった感じでした。これがこの祭りの凄さだと後で感じたのですが。

初めて白装束を着け、松明を持ち街に出て見ると、先ほどまで何もなかった街の辻々から、白装束に身を包んだ男たちが湧いてくるようにどんどん繰り出してくる。あっという間に、何とも言えない異様な雰囲気が漂い始めましてね。

そして、あちこちで振る舞い酒を飲みながら、道で出会う上り子と、口々に「頼むで」と声を掛け合いながら、火のついてない松明をぶつけ合う。「何を頼むのか」ははっきり分からないけれど、これは多分「他力」というものでしょうか。神倉神社に上るまでのプロセスで、みんな祭りの7割ぐらいの熱量を放出しているという感じですね。
538段の石段を上り神倉山の境内に着くと、2000人の白装束の男たちがいるわけですよ。まさに「猛者の群れ」。男たちの欲望が吐き出されている、たぎっているという感じでした。

 暫くして、上り子の松明にご神火がついた時、空が真っ赤になりました。火と煙でいぶされる。周りは火の海。岩に光が反射する。その時の、自分の興奮状態といったら、今までに体験したことがないくらいの衝撃でしたね。火に包まれた瞬間、この場所にずっと佇んでいたいという感動を初めて味わいました。

やがて門が開けられ、2000本の松明の火が、漆黒の闇の中をまるで火山の溶岩のように降りていく。まさに新宮節にある「山は火の滝、下り龍」ですね。あの光景は、本当に畏れを抱くものでした。

畏れといっても、それは恐怖とかではなく、何と言えばいいんですかね、神倉の自然や火に対する畏敬の念なんでしょうね。「今まで俺が探していたのはこの感覚なんだ」と強く感じました。中上さんが「上ってくれ!」と言っていたのはこのことかと思いましたね。

新宮の男たちは、この神々しさの中で、1年間背負い込んできた「余分なもの」をそぎ落とし、リセットし、新しい1年を生きていくということでしょうね。この日、上り子はみんないい男に見えます。

 私にとって、もうお燈に行かないと1年が始まりません。すべてそこからスタートするという感じで、毎年10月頃まで仲間とお燈の話で盛り上がり、話が薄れて来た頃、2月の祭りがやって来る。自分の人生のサイクルとなっています。
新宮は大好きな町です。私たちのような「よそ者」も温かく迎えてくれます。街でおばあちゃんに会うと「また、帰ってきたんかいの」と声をかけてくれる。懐が深いというか、よそ者にはすごく嬉しいです。

 また、まわりの自然も素晴らしい。街のそばを黒潮が流れ、南の風が心地よいですね。人間も自然もラテン的なような気がします。自分は新宮に来ると、心からリラックスできる。都心で生活して、失くしちゃったものが新宮にはありますね。新宮は私の第二の故郷だと、最近は思っています。
家の庭には速玉大社のご神木「ナギの木」を植えています。もう2メートルほどの大きさになりました。

 私が出演した森崎東監督の『ニワトリはハダシだ』という映画が今年ベルリン映画祭に出品されたのですが、この映画も新宮と関係があります。お燈で知り合った舞鶴出身の志摩プロデューサーとの縁で出来あがったからです。ロケは若狭でやったのですが、若狭と熊野は地形も人情もよく似ていましたよ。熊野にいるような気分でした。

 今年2月にベルリン映画祭に行かなければならなかったのですが、不思議なご縁を神倉の神、熊野の神にお礼をしたく今年もお燈に上りました。そうです、お礼参りです。

志摩プロデューサーも本当はお燈に来たかったはずです。私は彼の代参の松明を持っていきました。熊野へ来ると、自分の何かが解き放たれるように感じます。押し付けがましくないんです。理屈なしに清々しくなれる。私はあちこち旅をしますが、熊野の姿がいつも瞼にある。「熊野」を基準にして、一種のリトマス紙にしてその町を見ている自分に気づきます。(談)



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