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悩んでないで熊野においでよ! NO,2

執筆 : 
shingukk 2008-3-25 11:22
三月のある朝、いつものように観光協会事務所の電話が鳴った。
「ちょっとお訊ねしたいのですが・・・川上不白さんと新宮市は関係がありますか?」
三十代中頃と思われる男性の声だった。
川上不白は江戸時代新宮藩出身で、十六歳の時、新宮藩五代目藩主・水野忠昭の推挙で紀州藩茶頭、表千家七世如心斎宗左の門に入り修行を積み、三十二歳で師匠の命により江戸に出て、表千家流の茶道を教え、江戸表千家不白流の祖となった人である。新宮市の本広寺境内には、川上不白が先祖を供養するために、法華経の文字を一文字づつそれぞれ小石に書き写して埋めた「書写妙法蓮華経印塔」がある。大まかな内容を電話口で答えると、受話器の向こうから何やらやっと辿り着いた・・・といった雰囲気が伝わってきた。
茶道をされているのか訊ねてみると「いいえ」と返ってきた。茶道の教えである「守・破・離」という言葉に関心があると言った。守・破・離とは、物事を学び始めてから独り立ちしていくまでの三段階のことで、はじめは師の教えを守り、次に自分なりの発展を試み、最後には型を離れて独自の世界を創り出していくことである。
「守・破・離がどうかしたのですか?」と私は訊ねてみた。
「実は・・・私事ですがいいですか?」
何やら深刻な雰囲気に私は聞いてあげたいと思った。
「どうぞ、いいですよ。」
「・・・私は白血病で・・・二年前にあるドナーの方から骨髄を提供していただきました。今は手術後の経過も良く、仕事に復帰したのですが・・・最近、仕事を辞めようかと悩んでいます。」
「・・・どうしてですか?・・・手術後の経過もいいんでしょう。」
「はい、はじめは手術も成功して、生まれ変わったと喜んで仕事をしていました。でも、この頃、やっぱり自分がしたいと思う仕事をどうしてもやりたくなってきまして・・・」
話を聞くと、彼は元々、バスの運転手をしていて、手術後、同じ会社に復帰できたものの、運転手から運行管理という事務職に配置転換になったようである。会社としても、健康上の問題から仕方ないと思うが、彼にとっては耐えられなかったようだ。はじめのうちは運行管理の仕事を頑張っていたが、数ヶ月が過ぎて、周りの運転手達を見ていると、小さい頃からの夢であったバスの運転手への憧れが再燃してきて、今の会社で無理なら、他のバス会社でやれないかと悩み、会社に内緒で他社の試験を受けたばかりらしい。
骨髄提供者(ドナー)のことは、一生互いに誰だか明らかにされないが、ある所を介して、文通はできるそうだ。手術後、そのドナーの方に礼状を出したところ、しばらくして返事が返ってきた。その手紙の中に、「守・破・離の精神で、今後もお互い頑張りましょう。」と書かれていた。一年ほどその手紙のことを忘れていたが、ふと思い出し、何かの導きのように、今こうして電話をしていると言う。
「守・破・離・・・ですか・・・もし、今、自分を見失っているのなら、甦り・再生といった意味では、熊野も関係がないでもないですね。熊野は、もともと黄泉の国とされ、中世の頃から多くの人々が詣でたらしいですよ。平成十六年には、“紀伊山地の霊場と参詣道”として、ユネスコの世界文化遺産に登録されたんです。熊野古道を歩く過程で、過去を振り返り、過去を見つめ、過去の束縛を打ち破り、過去から解き放たれて再生していくことも大切だと思うんです。でも、物見遊山の観光だけで訪ねている人が多く、本当の良さを知らずに帰っている人がほとんどですが・・・ところで、一度亡くなったも同じ命が、名も知らないドナーの方のおかげで甦っただけでも感謝じゃないですか?どうして運行管理の仕事では不満なんですか?」
「とっても悩んでます。そのときは本当に感謝しました。もちろん今も感謝はしてます。でも健康な日々が戻ってくるとつい・・・仕事の不満が・・・今は、本当の自分ではないように思います。毎日が憂鬱で、自分らしさがなくなってしまって・・・」
悩みが深刻である事が伝わってきた。はじめて話する相手なのに私自身もついつい深刻になってしまった。
「そうですか・・・あなたにこの悩みを与えてくれたんですね。この世に不必要な事などないでしょうから、きっと、この悩みは、あなたにとって必要なのでしょうね。苦しいでしょうが、誰にも変わってあげることはできません。何とか自分で乗り越えてください。実は・・・私も十数年前に仕事に行き詰まり、会社を辞めようと考えた時がありました。その時、導かれるように熊野古道を歩いたのですが、ハイキング気分で歩いてえらい目にあいましたよ。熊野古道の中でも最も難所といわれる大雲取越えをしたのですが・・・苦しかったです。途中、もう二度とここを歩く事はないだろうと思いながら歩きました・・・そして、熊野那智大社に着いた時、拝殿でお賽銭を入れ手を合わすと、心の中で、ここまで無事来させていただきありがとうございました。とつぶやいているのに気がつきました。とっても不思議な良い気持ちでした。それまでの私のお参りといえば、お賽銭を入れ、手を合わせ、健康でありますように・・・とか、何かをお願いごとをするようなお参りばかりでした。初めて手を合わせ、心から感謝するお参りを体験しました。感謝をすることを忘れていたんですネ。それに、神社にお参りすることも大事ですが、自分の足でそこに到達するまでの間に、いろんなことを教わりご利益をいただいたことに気がつきました。それからは、時々、熊野古道を歩くようになりました。もちろん、もう二度と歩く事はないと思った大雲取越えも何度か歩いています。」と言うと、電話の向こうから鼻をすすりながら、
「ありがとうございます・・・とにかく新宮へ行ってみます。ちょうど明日、明後日と休みなので・・・今夜の夜行バスで行きます。そちらに着いたらお伺いしていいですか?」
「えぇ・・・あぁ・・・どうぞ。」あまりの唐突さに驚きながら答えた。
彼は私の名前を訊ねると「突然でご迷惑だと思いますが、よろしくお願いします。どうしても行きたくなってきました。夜行バスの予約を取って、また電話させていただきます。」と弾む声で電話を切った。彼は横浜から電話をかけていた。

悩んでないで熊野においでよ! NO,1

執筆 : 
shingukk 2008-3-25 11:15

人は大なり小なり悩みを抱えている。決して自分だけが特別なわけではない。神様は平等に創ってくれている。

大きな悩みを抱えている人も、小さな悩みを抱えている人も、自分に必要なだけの悩みしか与えられない。だから解決できる。

暗い部屋の中でジッと一人で考え込んだり、アルコールや薬に逃げてしまったり、そして、本当のあなたを知らない携帯やパソコンの向こうの顔の見えない誰かに相談したりするよりも、あなたが生まれてきた意味をよく理解し、包み込むような大きな愛であなたを見てくれている自然界の中で、古の人々が悩み苦しみ、救いを求めて歩いたであろう「熊野古道」を歩きながら、そっと耳を澄ませば・・・あなたに語りかけてくれるはず。

自然の声を耳だけではなく、身体全体で聞き取れば、眠っていた五感が目覚め、やがてあなたの抱えている悩みを解決してくれるだろう。歩きながら五感を解放してみよう。時空を越えて多くの人々が悩みを解決したように・・・人間には悩みを解決できる力がある。

そして蘇る力がある。悩んでないで「熊野」においで。

11月のある日、名古屋から帰省する電車の中で、あることに気付いた。窓側に座った自分は、走り出すと五分もしないうちにカーテンを閉めていた。もちろん光がまぶしいこともあったが、特に窓の外の景色に興味があった訳でもないからだ。

尾鷲駅に到着したときに多くの古道ウォーカーらしき人が降りた。カーテンを開けて人々の様子に見入ってしまった。楽しげに改札口に向かっている。何が楽しいんだろう。ボーっと眺めているうちに電車は走り出した。

窓の外にはやがて陽光に輝く海が・・・そしてもくもくと息づいているような山々が・・・後ろの席の若い女性が、溜息まじりの小声で「きれい?」とつぶやいた。彼女の声にはっとした。

たかが二日間、熊野を離れ、人ごみの中で過ごした私は、本当は誰も気にとめていない自分のことを、常にどう見られているのか意識していたように思う。

森の中だとそんなこと考えたことがないのに・・・木々にどう見られているかなんて考えたこともない。いつもの感性を失っていた。

ここは「熊野」。私は俗界から聖域に戻ったのだ。そう思うと、海や山が更に光り輝きだした。まわりの人達までも・・・

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