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悩んでないで熊野へおいでよ!NO,15

執筆 : 
shingukk 2008-12-11 11:49
私がホテルに就職して16年目、新館の支配人の立場にいたとき、何とか自分でしなければと素直に周りに助けを求められなかった。硬筆の塾に行けないと動揺した息子と何ら変わらない自分がダブってくる。最終的には成り行きに身を任すしかなかった。と言うよりジタバタしても始まらなかった。それが私を救ってくれたのだと思う。導かれるように熊野古道を歩いたのは、その苦悩のおかげである。自分がこんなにやっているのに、誰もわかってくれない。と思い続けていた時期である。人のアドバイスに耳を傾けなかった時期である。
精神科医へ行くことを家内に打ち明けたとき、
「病院へ行って診てもらったほうがいいよ。もし、どこも悪くないと言われても、先生にお願いして、3ヶ月間安静を要すと診断書に書いてもらったら・・・」と言われたことを、ハッキリと覚えている。私を精神科医に行かなくて良い状況にしてくれたのは、そのホテルの役員でもあったメイド長であった。私を入社以来、息子のようにかわいがってくれた人である。新館に行くまでは、時には厳しく、時にはやさしく接客の基本をすべて教えてくれた。新館は、従来の旅館のあり方を一新するために、表立っては手伝ってもらえなかったが、影でかなり力を借りた。悩みのスパイラルの真っ只中でさまよっていたが、意を決してメイド長を訪ねた時のことである。自分の気持ちや精神状態を打ち明け、病院へ行くことを告げると、
「ばかっ!あんたはどこも悪くないよ。病気でもなんでもないよ。まともやから心配いらん。私が保証したる。しっかりしなさい!・・・かわいそうに・・・あんたじゃなかったら誰がやれる?こんなに一生懸命がんばってるのに・・・」と泣きながら私を抱えてくれた。不思議なもので、その時の私に最も効果のある薬はその言葉であった。言葉が最も良薬であった。
「あんたじゃなかったら誰がやれる?こんなに一生懸命がんばってるのに・・・」であった。その言葉に救われた。的を得れば言葉は素晴らしい薬になる。私の心はたまには褒めてもらいたいと思っていたのであろう。褒めてくれる人を渇望していたのである。その気持ちを別の上司に打ち明けたとき、「甘ったれるな!」と言われ、更に落ち込んだことを覚えている。的を得なければ言葉は毒薬にもなる。私は褒めてくれる人を探していたのかもしれない。そのお陰で私の心は変わった。病院へ行くことはなかった。しかし、それで全てが解決したわけではなかった。私が私にかけた呪いの桎梏はまだくすぶっていた。最後の最後に、自分まで自分のことを見捨ててしまったらおしまいである。せめて自分ぐらいは自分のことを褒めてあげなきゃかわいそうだ。しかし、人からの褒め言葉を渇望しているときは、なかなか自分のことを褒めることができない。

常連のお客様から 
「あなたらしさが出てないと思う。もっと自信を持って、自分が思うようにやってみたらどうですか。以前のように自分らしさを出して、お客様に目を向けてみてはどうですか。うまくいかなかったらその時は、責任を取ればいいと思う。今のあなたは、上司ばかり見ていますよ。自分らしさを出さずに上司のいいなりでやったことに、責任を取らされるより、きっといいと思いますよ。」と言われた。私のルサンチマン的精神状態を見抜かれていたのかも知れない。
どうしたらお客様に喜んでもらえるかということより、どうしたら上司の鼻を明かせるかということばかり考えていたように思う。私の目線は完全に違うところを見ていた。
また、オープン当初は、クレームが続き、箸のこけたようなことでも「支配人呼べ!」と呼び出された。そのうち、「あぁ、またか!」と思い、ただペコペコと頭を下げているロボットのようになっていた。こんな些細なことで、どうしてこんなに怒るのか?お客様に対して反対に腹立たしく思ったこともある。しかし、当時の自分の悩みや苦しみがそうであったように、周りが見ればそれほど大したこともない些細なことでも、それに直面している当人にとっては大きな問題であり、許せない怒りなのである。こんなことぐらいと思っている人と、とんでもない大きな問題と思っている人との距離は、その時点ですでに隔たりが生じているのである。口先でいくら謝っても、相手の身になっていなければ、クレームは更に大きくなることに気づかなかった。「あぁ、またか!」「たかがこんなことで・・・」と思いながら、頭を下げていたのだ。まずはそのクレームを真摯に受け入れることが、問題解決の糸口である。しっかりと相手の訴えている内容を聞く。そして、もし、自分が相手の立場なら、どうか?腹が立つだろうと思えば、まず、相手を理解すること。腹が立つことは同じであるから共感すること。そして、心から謝ること。ここまでできれば半分は解決したようなものである。
ある時、常連のお客様に
「私は、思ったこと何でも言ってしまうので、どこへ行っても、うるさい客が来たくらいに思われてるのわかってるの。でも、悪気がないからね。それよりか、ちょっと注意しただけなのに、いつまでも気にされるほうがつらいのよ。あぁ?、言うんじゃなかったって・・・自己嫌悪に陥るのよ。だから、済んだことは済んだことで、これから気をつければいいことであって・・・いつまでもウジウジされると、こちらが構えてしまうの。思ったことが言えなくなって疲れるわ!また、来たいし・・・感じたことぐらい言わせてよ。」と言われたことがある。それからは、苦情と思わず、私の目の届かないところを見て、報告してくれているんだと思うようにした。それ以後は、お声がかかる毎に、クレームではなくアドバイスを聞きに行ったものだ。あの当時、あれだけ多くの苦情を受けたお陰で、相手の気持ちを少しは考えられるようになったような気がする。私にシャワーのように苦情を与えてくれたのは、あの頃の私には必要だったからである。私が道を間違えないよう「熊野権現」はいろんな人の肉体を借りて憤怒の姿で現れたのであろう。
心から「ありがとうございます。」を身をもって教わったのが、新館オープンから一年近く経った春、熊野古道・大雲取越えを歩いた時のことである。まだ、今日のように「熊野古道」が知られていない時だった。なぜ、熊野古道を歩いたのか・・・不思議でならない。特に、誰かに勧められたわけでもないし、山歩きが好きなわけでもなかった。まして郷土の歴史などに興味があったわけでもないし・・・目に見えない何かに導かれたようでならない。いや、熊野権現がその時の私にもっとも効果的なものを差し出してくれたとしか言いようがない。

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